自然食品の定義とは?有機・無添加・非遺伝子組み換え・発酵食品を例に解説

自然食品の定義とは?有機・無添加・非遺伝子組み換え・発酵食品を例に解説

自然派志向の高まりで、「ナチュラル」「自然派」のような言葉が目に入ると、自然食品を手にする方も多いでしょう。
ただ、自然食品の定義は、実のところあいまいです。
 
そこで今回は、自然食品とは?の答えになる情報を紹介します。
記事を通して、自然食品の定義を理解し、得た知識をもとに食品を選んだり購入したりと参考になれば幸いです。
 

自然食品の定義とは?


 
自然食品とは、自然に育った材料を使った食品、あるいは無農薬・無化学肥料で作られた食品をさします。
 
ただ、自然食品を定義する基準はあいまいで、次のような食品を広く「自然食品」として扱うケースが多いのが実情です。
・オーガニックといわれる有機食品
・無添加食品
・遺伝子組み換えのない食品
・発酵食品
 
そこで、これら4つの食品がもたらす効果や使用されている食品について解説します。
 

自然食品その1:有機食品


 
有機食品とは、環境への負荷を少なくした方法で作られた食品です。
農薬や化学肥料を使わずに育てられた「有機農産物」や、ストレスのない環境で育てられた「有機畜産物」、またそれらを原料にした加工食品を総じて有機食品と呼びます。
 
農産物は堆肥による土づくりから、畜産物ならば無農薬飼料で育てられたものでなければ、有機食品とはいえません。
また、加工食品に関しては、指定添加物(合成添加物)を避けるなど、製造過程における条件が加わります。
 

有機食品のメリット

有機食品は、自然に近いものを体に入れるため、健康に及ぼす影響が少ないのがメリットです。
 
農作物を収穫した後の葉やわらが家畜のえさとなり、家畜の出すふんから堆肥が作られます。
さらに、堆肥で農作物の成長が促される循環型農業は、人や環境に優しいスタイルといえるでしょう。
 

有機食品の見分け方

有機食品を見分けるときは「有機JASマーク」に注目しましょう。
 
有機食品は、無農薬野菜や無農薬飼料で育てられた畜産物、有機加工品をさします。しかし、消費者が栽培や飼育の過程を見ることはできません。
 
そのため、平成11年改正のJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に基づいて、JAS規格が定められました。
 
有機JASマークは、JAS規格に適合した有機食品のみに与えられるマークです。有機食品を選ぶ際には、有機JASマークがついているものを選ぶとよいでしょう。

 

自然食品その2:無添加食品


 
無添加食品とは、食品添加物を含まない食品です。食品添加物には、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物の4種類があります。
 
食品添加物は、食品の保存性や風味などをよくするために使用されます。単独摂取での検査では体に影響のない使用料が定められていますが、複数の添加物を摂取した場合の危険性は分かっていません。
 
このような背景から、無添加食品は健康志向の方に支持されています。
 

無添加食品のメリット

無添加食品を摂取し始めると、素材本来の味を楽しめるようになります。逆に、合成添加物に慣れると、人間の味覚そのものが低下するかもしれません。
 
また、食品添加物は「腸内細菌に影響を与える」とする研究報告もあれば、「添加物が腸内細菌に影響は与えても一過性のもの」とする報告もあります。
 
添加物の是非が問われる状況下では、体に過度の負担を与えない無添加食品の必要性が増えているといえるでしょう。
 

無添加食品の見分け方

無添加食品を選ぶ際には、裏面に印字された原材料を確認する必要があります。
 
なぜなら「食品添加物(着色料・増粘剤・化学調味料・甘味料)を加えておりません」と表示されていても、○○エキスやパウダー、デキストリン、糖類が含まれる可能性があるからです。
 
これらは食品添加物として指定されていませんが、天然原料をもとに化学合成で作られた添加物です。
 
たとえば、以下のような表示であれば無添加食品の類に入ります。
・無添加みそ…米、大豆、食塩のみ
・無添加醤油…大豆、小麦、食塩のみ
・無添加ハム…ポーク、塩、砂糖のみ
 
無添加食品を選ぶ際の参考にしてみてください。
 

無添加データベース ロゴ

無添加データベース|無添加食品が見つかる情報サイト

無添加データベースは、原材料表示に食品添加物が含まれない無添加食品を紹介する情報サイトです。安心して食べられる食品や、昔ながらの製法で作られた本格的な食品など、素敵な商品が見つかります。

 

自然食品その3:非遺伝子組み換え食品


 
遺伝子組み換え食品とは、ほかの生物から有用遺伝子を取り出し、その性質をもたせたい植物に遺伝子を組み込んで作られた食品のことです。
 
2023年4月より「遺伝子組み換えでない」表示が厳格化されます。これまでは、遺伝子組み換えを5%以下に抑えている食品について「遺伝子組み換えでない」と表示できました。
 
新制度では、遺伝子組み換えの混入がないもののみ「遺伝子組み換えでない」と表示ができます。これらの取り組みには、消費者が食について正しい選択ができるようにとの背景があります。
 

非遺伝子組み換え食品のメリット

非遺伝子組み換え食品のメリットの第1は、食品の安全性です。遺伝子組み換え食品の摂取は、健康被害を及ぼすとする意見もあります。
 
また、組み換え食品の普及は生態系への影響が危惧されており、意図しない遺伝子汚染が広がる可能性も捨てきれません。
 
しかし、厳格な基準に基づいて生産・流通される遺伝子組み換え食品の安全性は、各国の研究機関や科学者に支持されているのも事実です。
 
さまざまな意見がある遺伝子組み換え食品ですが、安全性に疑問をもつ方は非遺伝子組み換え食品を選ぶとよいでしょう。
 

非遺伝子組み換え食品の見分け方

非遺伝子組み換え食品を選ぶ際には、原材料に「遺伝子組み換え食品でない」と書かれているか確認する必要があります。
 
大豆、とうもろこし、ばれいしょなどを原料とする33商品群の加工食品について、遺伝子組み換え農作物を使用している、または使用している可能性がある場合は、表示が義務付けられています。
 
非遺伝子組み換え食品を選びたいときは、原材料をチェックするとよいでしょう。
 

自然食品その4:発酵食品


 
発酵食品とは、カビや細菌、酵母などの微生物の発酵を活用して生まれた食品です。元の食材にはないおいしさや栄養が加わり、食生活を豊かにしてくれます。
 
日本食には欠かせない醤油やみそ、漬物、納豆などは、食の欧米化により年々摂取量は減っています。しかし、体質改善や自然食品を求める方々には、発酵食品の必要性が増しているといえるでしょう。
 

発酵食品のメリット

発酵食品には、さまざまなメリットがあります。たとえば、血圧や悪玉コレステロールを低下させたり、認知症の発症を避けたりするのに有効です。
なかには「発酵食品によって腸内環境を整えるのは、リラックス効果や脳の健康に役立つ」と発信する専門家もいます。
 
発酵食品のメリットは、健康面だけにとどまりません。発酵食品内の微生物によって作られる独自のうまみ成分が味わいを豊かにしてくれます。また、人体に有害な腐敗菌の繁殖を抑えるため保存性が良くなるのもメリットです。
 
うまみ成分が豊かな発酵食品をおいしく取り入れることで、健康的な生活を維持できるでしょう。
 

発酵食品の例

カビや細菌、酵母などの微生物がもたらす発酵によって、さまざまな発酵食品が生まれています。実は、ビールやワインも発酵食品であるとご存知でしょうか。
 
具体的な発酵食品をご紹介します。
・酵母→ビールやワイン、パン
・麹菌→甘酒
・カビ→かつお節(本枯節)
・酵母とカビ→みりんや焼酎
・細菌とカビ→チーズ
・細菌と酵母とカビ→味噌、日本酒、醤油など
・乳酸菌→ヨーグルト、チーズや漬物など
・納豆菌→納豆
・酢酸菌→酢
 
私たちの身近にある発酵食品が、日々の食生活や健康を支えているといえるでしょう。
 

自然食品を購入する際の留意点


 
自然食品を購入する際は「ナチュラル」や「自然派」の言葉ではなく、正しい知識をもとに表示などで確認する必要があります。
ここでは、購入の際に気をつける点について解説します。
 

原材料表示や添加物表示を確認する

見た目の雰囲気や文字に惑わされず、原材料や添加物の表示をしっかり確認するようにしましょう。
 
一つ一つの商品について、「原料は何か」「産地はどこか」を可能な限り確かめます。
 
「無添加」を謳っていても、甘味料やデキストリンなどが入っているかもしれません。また、発酵食品も、遺伝子組み換え食品ではないか確かめましょう。
 

有機JASマークの有無を確認する

自然食品店の商品に、たとえば「有機」や「オーガニック」と表示された農作物(畜産物)やそれらを使った加工食品がある場合は、マークを確認しましょう。
 
正しい表示は「有機JASマーク」で、「有機〇〇」「オーガニック〇〇」の表示は、禁止されています。有機JASマークの商品がある店や生産者が分かる表示をしている店を選ぶようにしましょう。
 

自然食品を正しく理解して上手に付き合おう

自然食品には、有機、無添加、非遺伝子組み換え、発酵の4種類に分けられます。各食品の知識をもっていた方が、体によりよいものを選択できるでしょう。
 
購入する際、やみくもに添加物や遺伝子組み換えの危険性を恐れる必要はありません。大切なのは、正しい情報を選択することです。「ナチュラル」「自然派」のフレーズや言葉に惑わされず、客観的に得た知識をもとに、商品の表示や産地などを確認するようにしましょう。

 

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