グラスフェッドミルクとは?健康や意識面に与える効果と食材を紹介

グラスフェッドミルクとは?健康や意識面に与える効果と食材を紹介

グラスフェッドとは、動物を飼育する際、牧草のみをエサとして飼育する方法を指します。
自然派志向の高まりから、グラスフェッドのビーフやバターなどを選ぶ方もいるでしょう。
今回は、グレインフェッド(穀物飼育)との違いを明らかにしながら、グラスフェッドが私たちの健康や意識面に与える効果について解説します。
後半では、グラスフェッド食材を紹介します。ぜひ最後までお読みください。
 

グラスフェッドミルク(牛乳)とは

グラスフェッドミルクとは、牧草のみを食べて育った牛から採れるミルクです。
グラス(grass)は「牧草」、フェッド(fed)は「食べさせる(feed)」の過去形を指しています。
多くの乳牛は、乳牛の泌乳能力を発揮させるために、牧草に加えてとうもろこしや大豆などの穀物を混ぜて与えています。
しかし、グラスフェッドミルクがとれる乳牛には穀物を一切与えていません。
広大な土地でストレスなく育てられた乳牛から採れるグラスフェッドミルクは、濃厚なコクとスッキリとした後味が持ち味です。
また、一般的な牛乳よりもビタミンやカロテン、共役リノール酸が豊富に含まれており、健康効果も期待されています。
 

グラスフェッドとグレインフェッドの違いは?


 
グラスフェッドとよく似ているのが「グレインフェッド」です。
どちらも牛の飼育方法を指していますが、牛の食べるエサや飼育方法に違いがあります。
 

グラスフェッドとは

グラスフェッドとは、放牧を基本とする飼育方法で、牧草を食べて育てます。
おもにニュージーランドやオーストラリアで行われている飼育方法です。
グラスフェッド牛は、牧草を動きながら探すため運動量が多く、引き締まった体に育ちます。
 

グレインフェッドとは

グレインフェッドとは、人工的に配合された穀物を食べさせて育てる方法で、畜舎で育てるのが主流です。
グレインフェッド牛は高エネルギーの穀物飼料を食べ、さらに運動が制限されるため、脂肪分が多い体に育ちます。
 

グラスフェッドがもたらす効果その1:健康面


 
グラスフェッド牛から得られる食材が、私たちの体にもたらす効果を解説します。
紹介する効果は、食材を摂り続けて感じられるものといえるでしょう。
ただし、過度の摂取は栄養バランスを崩し、逆効果となりかねません。
その点を念頭にお読みください。
 

美肌になる

グラスフェッド牛の赤身肉は、美肌に欠かせないビタミンやミネラルを含んでいます。
また、不飽和脂肪酸の一種である「オメガ3脂肪酸」がグレインフェッドの2倍~5倍も含まれているのが特徴です。
オメガ3は血流の循環を円滑にするとともに、皮膚細胞の新陳代謝を活発にします。
肌のターンオーバーを促し、さらに美肌効果を発揮するでしょう。
ただし、脂肪であるのは事実ですから、摂り過ぎには注意する必要があります。
 

良質の睡眠を得られる

グラスフェッド牛は睡眠導入効果のあるとされている「トリプトファン(必須アミノ酸の一種)」を多く含んでいます。
体内に摂り込まれたトリプトファンからセロトニン、続いてメラトニンが生成されます。
メラトニンは催眠効果のあるホルモンで、睡眠と覚醒のサイクルを整えます。
良質の睡眠には、グラスフェッド食材を摂ると効果的かもしれません。
ただし、アミノ酸を過度に摂取するのは腎臓に負担をかけるため注意しましょう。
 

グラスフェッドがもたらす効果その2:意識面


 
グラスフェッドは、健康面だけでなく、意識面にも変化をもたらします。
人工的に作られた飼料や環境で育つよりも、できるだけ自然に近い状態で育つ方が、人間にとっても動物にとっても幸せであるという認識です。
グラスフェッドがもたらす意識面の変化について、具体的にご紹介します。
 

「食」に対する関心を高める

昨今は、添加物から離れた生活を求める方や、自分が口にするものが「どこで、誰に、どのように作られて運ばれているのか」の観点で関心をもつ方が増えています。
グラスフェッド牛から生まれた食材もまた、無添加やオーガニック食品などの自然食品のひとつです。
グラスフェッドを意識しながら食材を選ぶことは、環境や食生活への関心を高める契機になるでしょう。
 

動物の生命に関心をもつ

グラスフェッドは、動物に寄り添いたい方の価値観、つまりアニマルフェアに則った飼育方法です。
農林水産省では、アニマルフェアは「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の体的・心的状態」と定義しています。
人間に福祉があるように、「動物にも福祉を」に基づく考えが広がりを見せています。
快適な環境下での飼育は、家畜のストレスや疫病の減少につながります。
アニマルウェルフェアは、生産性や安全性の面から人間に優しい考え方といえます。
 

グラスフェッド食材を日本で作るのは難しい?


 
グラスフェッド食材は、日本で広まりにくいとされています。理由として、以下の3点が挙げられます。
 

●日本の土地は狭い

●飼育に時間と労力がかかる

●コストが高い

 
牧草地で牛を育てるには、牛1頭あたり1ヘクタールもの土地が必要です。
しかし、日本では広大な土地を確保できません。
また、グラスフェッド牛の場合、誕生から出荷までかなりの労力と時間がかかります。
そのため、グラスフェッド食材はコストが高く、一般的なバターと比べて5倍~6倍も高い場合があります。
人気が出てきたとはいえすぐに出荷を増やすのは難しいため、需要と供給のバランスがとりにくいのも難点でしょう。
国内でもグラスフェッドで育てる畜産農家がありますが、普及させるのは容易ではないといえます。
 

グラスフェッド食材を生活に取り入れるならグラスフェッドミルクがおすすめ


 
グラスフェッド食材はコストが高く、取り入れるにはハードルが高いかもしれません。
しかし、自然派志向の方であれば上手に取り入れたいと考えるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、朝の一杯に、グラスフェッドミルクを追加することです。
グラスフェッドミルクは、くさみがなくサラっとしているのに濃厚なコクが味わえます。
カフェオレやミルクティとの相性も良好です。
また、食パンにグラスフェッドバターを塗って食べると豊かな香りや味わいを楽しめます。
栄養価の高いグラスフェッド食材で、一日の元気をチャージできるでしょう。


 

グラスフェッド牛から生まれたミルク以外の食材


 
グラスフェッド牛から生まれた食材には、バターやチーズなどの乳製品をはじめ、手軽に摂取できる商品があります。
ここでは、グラスフェッドビーフ以外の食材を紹介します。
 

グラスフェッド牛


グラスフェッドで育てられた牛は、広大な土地を動き回りながらエサとなる牧草を探します。
そのため、畜舎で人工飼料で育てられた牛の肉よりも、赤身が多く脂肪分の少ない肉質です。
また、牛の運動量が多いため、肉質は引き締まっているといえるでしょう。
グレインフェッドの霜降り肉とは異なり、お肉本来の食べ応えのある歯ごたえが特徴です。
低カロリーで栄養価が高く、うま味を感じられるグラスフェッドビーフは、アスリートや健康志向の人々の間で人気が高まっています。
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グラスフェッドバター


 
牧草地で育った牛から摂れるグラスフェッドミルクから作られたバターがグラスフェッドバターです。
グラスフェッドミルクに多く含まれるカロチンの色素がバターに移るため、一般的なバターよりも濃い黄色をしています。
グラスフェッドバターは不飽和脂肪酸が多く体に吸収されやすいため、美容や健康志向の人々に好まれるでしょう。
グラスフェッドバターの上品なコクと口当たりのよさが、コーヒーともよく合います。

 

グラスフェッドチーズ


グラスフェッドチーズは、牛乳本来のコクのある味わいが特徴です。
たとえば、グラスフェッドのモッツアレラチーズは、ミルクを凝縮したような味わいで、ゴーダチーズは、ほのかに甘いバターのような風味を楽しめます。
そのままサラダのトッピングにしてもいいですし、ピザやパスタ、リゾットなどの料理では、独特の伸びともっちり感を味わえるでしょう。
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グラスフェッドプロテイン


グラスフェッド牛から生まれた食材には、ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養成分が豊富に含まれているため、健康食品に使用されます。
その一つが、グラスフェッドプロテインです。
グラスフェッドミルクから生まれたホエイプロテインは、ホルモン剤不使用のため、有害物質を体に摂り込むリスクが少ないとされています。
筋肉増強や健康維持をめざす方にとって、手軽に栄養成分を摂れる食品といえるでしょう。
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グラスフェッドギー


グラスフェッドギーとは、自然放牧された牛のミルクを原料に作られたもので、 バターを煮詰めて、タンパク質や水分、不純物を取り除いたオイルを指します。
もともとギーは、インドの伝承医学で重宝されていたもので、食用だけでなくマッサージオイルや目を洗うネトラバスティに使用されていました。
ギーは、炒め物用の油として使用したり飲み物へ加えたりして活用できます。
栄養を補う食材として有効でしょう。
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グラスフェッドをさりげなく取り入れて自然派生活をおくろう

グラスフェッドから生まれた食材は、人間と動物を含めた自然とのつながりを感じさせます。
コストは高めですが、健康や意識面をよりよくするために効果があるといえるでしょう。
毎日の食生活に、自然を感じながらほっと一息つける瞬間があるのは幸せです。
少しずつ自然派生活の一コマに、グラスフェッド食材を取り入れてみませんか。

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