酵母エキスは添加物?体に悪いと言われる理由や使用例を紹介

酵母エキスは添加物?体に悪いと言われる理由や使用例を紹介

酵母エキスと聞くと「酵母」のイメージから、ビールやパンなどを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、ビールやパンに使われる「酵母」と「酵母エキス」は全くの別物です。
 
また「酵母エキスは体に悪い」「酵母エキスは添加物だから避けた方がいい」などのネガティブなイメージを持つ方もいます。
 
本記事では酵母エキスとはどんなものなのか、なぜ体に悪いと言われているのか、酵母エキスの主な使用用途などについてご紹介します。
 
酵母エキスについて詳しく知りたい方や酵母エキスを生活に取り入れたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
 

酵母エキスとはそもそもどんなものなのか


 
最近、無添加食品を選んで購入する「無添加志向」の方が増えています。
これから無添加を取り入れようと考える方の中には、酵母エキスは添加物なのかどうか知りたい方もいるのではないでしょうか。
 
ここでは酵母エキスとはどんなものなのか、酵母エキスは添加物なのかについて解説します。
 

酵母エキスとは?酵母から抽出したエキスのこと

「酵母」とは、パンなどの食品や味噌やしょうゆなどの調味料をつくる際に欠かせない微生物です。
一方「酵母エキス」とは、微生物である「酵母」が持っている成分を抽出したもの指しています。
 
酵母エキスは以下のような処理を経て作られます。
・自己消化
・酵素
・熱水
 
酵母エキスの主な形状は以下の3つです。
・粉末
・ペースト
・リキッド(液体)
 
使用するタイミングや作るものによって使い分けてみてください。
 

酵母エキスは添加物ではなく「食品」

酵母から成分を抽出した酵母エキスは、食品添加物ではありません。
昆布エキスなどと同じように食品に分類されます。
 
食品に分類される理由のひとつに、精製処理をしていない点が挙げられます。
精製処理とは、混ざっている物を取り除き純良なものを作るための処理のこと。
酵母エキスを作る際は精製処理が行われないため、食品添加物ではないとされています。
 

酵母エキスは本当に体に悪いの?


 
食品添加物などを避けた食事を意識する方の中には、「酵母エキスは体に悪い」「できるだけ避けるべき」といった考えを持つ方もいます。
 
食品添加物ではなく食品に分類されているのに、なぜでしょうか?どのような点が「体に悪い」とされているのか、詳しい理由について解説します。
 

そもそも添加物に近いのでは?といった意見が多い

酵母エキスは、精製処理が行われていないことから食品に分類されます。
しかし、酵母エキスは人工的に作りあげられたものであり、旨味を増幅させるといった役割があります。そういった点から「添加物に近いのでは?」といった意見があるのです。
 
酵母エキスは、自然界ではないような強い旨味が特徴です。酵母エキスが使われる食事を続けていると、自然の優しい旨味を感じにくくなる可能性があります。
 
旨味の強い食事を摂取しつづけると、美味しいと感じるにはより強い旨味が必要です。
食材本来の美味しさが感じにくくなる可能性や、こういった可能性が添加物と似てしまう点が体に悪いと言われる理由なのです。
 

遺伝子組換え操作をしたものが使われている場合がある

酵母エキスには、遺伝子組換え操作が行われた酵母が使われている場合があります。
今まで酵母エキスを作る際に使用する酵母は、ビール酵母などが使われていました。ただ、最近はより効率的に酵母エキスを作るための酵母が遺伝子組換えで作られています。
 
遺伝子組換え操作は、害をもたらすような危険性があるわけではありません。
遺伝子組換え操作が行われている食品を食べ続けると、どのような影響が出るのかはっきりとわかっていないため、危険(かもしれない)といった認識です。
 

アレルギーを発症する可能性がある

酵母エキスはアレルギーを発症させる可能性があります。しかし、卵や小麦のようなアレルギー症状がみられる方が少ないため、アレルギー表記する決まりがありません。
また、酵母エキスアレルギーは珍しいものであるため、医者でも原因が見つけられない場合もあります。
 
酵母エキスでアレルギーを発症する方の場合、酵母エキスが含まれていないか原材料表記を確認するよう意識しましょう。
また、酵母エキスの中には小麦の成分を含んでいる物もあるため、小麦アレルギーの方は酵母エキスの摂取にも注意する必要があります。
 

酵母エキスはどうやってできている?


 
酵母エキスの製造法は主に3つに分けられます。
・酸処理
・アルカリ処理
・酵素処理
 
上記のうち1つの方法を選び、酵母菌が持つ細胞壁を破壊し内容物(旨味成分)を取り出します。取り出した成分を抽出し、粉末やペーストなどに加工して完成です。
 
抽出した成分は4つの手順を踏み、加工されます。
・遠心分離:遠心力を利用して酵母の細胞壁などの不純物を除去
・ろ過:遠心分離したものをフィルターに通して遠心分離では取り切れなかった不純物を除去
・濃縮:水分があるとカビや微生物が発生してしまうため加熱して水分を飛ばす
・粉末化:濃縮を続け僅かに残っていた水分もすべて飛ばす
 
酵母エキスの中でも、ペースト状のものは濃縮の過程で加工を止めます。
 

酵母エキスの使用例を紹介


 
酵母エキスは食品以外にも、以下のような場面で使用されています。
・最も身近な食品分野
・さまざまな機能性を活かした健康食品分野
・微生物に発酵を促すバイオ分野
・意外と知られていない化粧品分野
・嗜好性を高めるペットフード分野
 
どのような場面で使われてるのか、使用例をご紹介します。
 

1.最も身近な食品分野

酵母エキスを使用している、最も身近な分野は以下の食品です。
・インスタントスープ
・カップラーメン
・レトルト食品
・調味粉末(唐揚げ粉など)
・カレールー
・ドレッシング
・液体調味料
・スナック菓子 など
 
スーパーやコンビニなどで売られている食品や加工食品の多くには、旨味を増幅させるために酵母エキスが使われています。
「無添加」と書かれている食品や調味料であれば、ほとんどの物に使用されます。
 
酵母エキスも含まない無添加食品は「無添加データベース」で紹介中!
 

2.さまざまな機能性を活かした健康食品分野

酵母エキスには、以下のような成分が含まれています。
・アミノ酸
・ペプチド
・核酸成分
・糖類
・ビタミン類
・ミネラル分 など
 
以上のことから、多くの栄養素を備えていることが分かります。そのため、機能性食品として扱われる場合があり、健康食品や健康食品素材として健康食品分野でも活躍中です。
 

3.微生物に発酵を促すバイオ分野

バイオ分野は、私が生活をするうえであまり意識しないでしょう。バイオ分野は見えないところで私達の生活を支えています。
具体的には以下の3つです。
・再生可能エネルギー:バイオ燃料や生分解性プラスチックなど
・医療:抗生物質やワクチンなど
・環境:排水処理など
 
酵母エキスが持つビタミンやミネラルなどは、私達の生活を支えてくれている微生物を増やす際に活躍します。
今後もバイオ分野が発展するには、酵母エキスが欠かせない存在となるでしょう。
 

4.意外と知られていない化粧品分野

意外と知られていないのが化粧品分野です。酵母エキスを使用した酵母化粧品には、美肌効果が期待できる成分が豊富に含まれています。
 
化粧品によっては、独特な匂いや色が使いにくい普通の酵母エキスではなく、水溶性ワイン酵母エキスを使用するなどこだわりがあるようです。
ワイン酵母エキスには成分は主に以下の5つの成分が含まれています。
・アミノ酸17種
・ワインポリフェノール
・ビタミン3種
・脂肪酸14種
・トリペプチド
 
これらの成分には美肌効果があるようです。
 

5.嗜好性を高めるペットフード分野

最近はペットフードであっても、嗜好性を高める動きがあります。
以前はビール酵母などが使用されていましたが、世界的なビール消費量の減少で、ビール酵母の確保が難しくなっています。
 
そのため、パン酵母や酵母エキスなどがペットフードに使用されるようになりました。
 

まとめ

酵母エキスは私達の生活を支えるうえで欠かせない存在です。
今のところ、アレルギー以外の健康被害の報告などは特になく、添加物ではないといった認識から多くの無添加食品などに含まれています。
 
ただし、どんな食品でも摂り過ぎると体によくないとされています。過剰摂取に注意しつつ、酵母エキスと上手に付き合っていきましょう。
 

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